貸倒損失の計上要件と計上時期
新型コロナウイルスの影響で得意先等に対する金銭債権の回収が危ぶまれるケースも見受けられるようになってきました。金銭債権が回収不能になった場合には貸倒損失を計上しますが、法人の金銭債権に係る貸倒損失については、次の3つに限定して損金算入が認められており、法人税基本通達にその要件が定められています。
- 法律上の貸倒れ(法基通9-6-1)
更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定や特別清算に係る協定の認可の決定により金銭債権が切り捨てられることになった場合や、債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているものにより金銭債権が切り捨てられることとなった場合、又は、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額が書面により明らかにされた場合には、その切り捨て等された金額は、その事実が生じた日の事業年度に「強制的」に損金算入されます。
- 事実上の貸倒れ(法基通9-6-2)
債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった場合には、その事業年度に損金算入されます。損金経理が要件となっており、担保物がある場合には処分後でなければ損金経理できません。
- 形式上の貸倒れ(法基通9-6-3)
売掛債権について、債務者との取引停止後又は最後の弁済期以後1年以上経過した場合や、同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済が無い場合には、備忘価額(通常は1円)を控除した残額が損金算入されます。こちらも損金経理が要件となっています。