贈与における個人と法人の課税上の取り扱い Part2(法人からの贈与)
贈与については、個人間や法人間だけではなく、個人と法人の間でも行われるものです。
分類すると、①個人から個人、②個人から法人、③法人から個人、④法人から法人、の4つに区分することができます。そして、個人間での贈与は贈与税が課税されますが、その他では、それぞれ課税の取扱いが異なり少し理解しにくいところもありますので、ここで簡単に整理してみます。
Part2では、法人から個人、法人から法人のケースについてご説明します。
3 法人から個人
法人は税務上、経済的合理性で行動することを前提として考えられています。したがって、財産を時価で譲渡したとして法人税がかかります。
仕訳で示すと、次の仕訳2のとおりです。
<仕訳2> 借方 寄付金 ××× 貸方 土地 ×××
売却益 ××
貸方(右側)は、時価と取得価額との差額が売却益となります。借方(左側)は、法人と個人の間に従業員や役員等の雇用関係があれば次のようになります。
・従業員の場合⇒賞与
・役員等の場合⇒役員賞与
・雇用関係がない場合⇒寄附金
贈与税は、個人から財産をもらった時にかかる税金です。会社など法人から財産をもらった時は個人には贈与税がかかりませんが、所得税がかかることになっています。
この場合、法人と個人間に雇用関係があれば「給与所得」として、雇用関係がなければ「一時所得」として処理します。
一時所得に該当する場合には、下のように算定され、その2分の1に相当する金額が総所得金額に算入されます。
一時所得の金額
=総収入金額-その収入を得るために支出した金額(※)一特別控除額(最高50万円)
※ その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に隕ります。
4 法人から法人
財産を贈与した法人は、前記3と同様に財産を時価で譲渡したとして法人税がかかります。
一方、財産を受贈した法人は、財産を時価でもらったことになり、受贈益に法人税がかかります。